マイクロソフトのIgniteというイベントにWebから参加したのですが、そのイベントは、AIについてのイベントだったので、少しAIについて興味が湧き、今までスルーしていたのですが、改めて、勉強したので、備忘録として残してみました。最初はAIの歴史からになります。
クリックできる目次
AIの生い立ち
AIの歴史はイギリスの数学者アラン・チューリングが1950年に出した著書、『計算する機械と人間』から始まります。
当時は、「機械が思考したかどうかは、人との会話が成立したかどうかで判断する」と定義して、これを「チューリングテスト」と呼び、この頃は、まだ「人工知能」という言葉は使われていませんでした。
「人工知能」という言葉が誕生したのは、それから6年後の1956年に科学者たちにより開催されたダートマス会議になります。アメリカのニューハンプシャー州にあるダートマス大学で数学の教授であったジョン・マッカーシーが「人間のように考える機械」を「人工知能」と名付けたのが、始めのようです。
人工知能は、ここから始まり、いくつかのブームを経て、現在に至りますので、そのブームについて追ってみました。
第1次AIブーム(1950年代後半~1960年代)
この時代は「推論」や「探索」と呼ばれる技術により、パズルや簡単なゲームなど、明確なルールが存在する問題に対して高い性能を発揮し、人工知能に大きな期待がかけられました。
1966年にマサチューセッツ工科大学のジョセフ・ワイゼンバウムにより開発された初の自然言語処理プログラム、イライザ(ELIZA)は特に有名です。(イライザはAIアシスタントSiriの起源にもなったと言われています。)
この頃、人工知能の開発言語は「Prolog」という言語にあげられます。
このブームは、実社会の複雑な課題は解決できないことからAIへの失望感が広がり、一次ブームが下火になります。
第2次AIブーム(1980年代)
この時代のブームを起こす引き金となったのが、エキスパートシステムの実現です。
多くの大企業がエキスパートシステムを業務に導入するなど、エキスパートシステムは実用的なツールとして広く商用利用されるようになりました。
サイトを訪問した人に、その人の見た商品情報からの類似商品をお勧めしたり、その人が日頃見るニュースから、次にその人が読みたいであろう関連ニュース一覧を表示したりするシステムも、エキスパートシステムの1つと言えると思います。
AIに知識を与えられるようになったことで、音声認識技術の向上などAIの技術が発展し、日本でもAI研究が活発に行われるようになりました。
しかし、実際にAIに活用できる知識量に限界があることが判明し、二次ブームも下火になっていきます。2次ブームでも人工知能の開発言語は「Prolog」という言語にあげられます。
第3次AIブーム(2000年代から現在)
まさに今ですね。大量のデータを意味する「ビッグデータ」が登場し、それを利用した「機械学習」が実用化され始めました。個人的には、コンピュータのハードウェアの性能の向上も見過ごす事ができないと感じています。これによって、AIは、さらなる発展に入っています。
2012年には、画像認識にディープラーニングが適用され、画像認識技術はさらに向上し、顔認証システムや欠陥品の検査などさまざまなシーンで活用できるレベルになりました。
AIのレベル
AIには、レベル1からレベル4までの4つのレベルがあります。(自動運転のレベルと同じですね)それぞれのレベルは、AIの能力や機能に応じて分類されています。以下に、各レベルの概要を示します。
感覚的には、人工知能と言えるものは、レベル3からではないでしょうか。
レベル1:単純制御アルゴリズム
制御プログラムは条件分岐で構成されており、入力に応じて単純な出力を行います。家電製品で「AI搭載」という場合、たいていは家電でのAIは、このレベル1のAIのことを指しています。
プログラムから見るとIF分で分岐を多用したアルゴリズムですね。
レベル2:ルールベースの推論プログラム
入力に応じて複数の行動パターンの中から次の振る舞いを自ら選択するAIのことを指します。 例えば、チャットボットのような質疑応答システムが挙げられます。
レベル3:機械学習
機械学習という仕組みによって学習するAIです。検索エンジンに搭載されたAIは、どの記事を上位に表示させて、どの記事を表示させないのが適切なのかを判断しています。
レベル4:深層学習(ディープラーニング)
機械学習の1つの手法ではありのですが、レベルとしては1つ上のレベルとして位置づけられています。深層学習という仕組みによって学習するAIです。これにより、従来は技術的に不可能だったAI活用の多くが実現化に成功しました。
CHATGPTについて
AIの歴史、レベルについては、上に記載しましたが、では、現時点でのAIというと、よく耳にするようになった、「ChatGPT」が有名ですね。ここで、少しAIとChatGPTの位置づけが分かるように、ChatGPTについて説明します。
ChatGPTは、OpenAIが開発した言語モデル(文章生成AI)で、対話形式でコミュニケーションを行うことができます。
GPT (Generative Pre-trained Transformer) とは、大規模言語モデルのことで、人が話したり書いたりする言葉で次にどの単語が来るかといった出現確率でモデル化したもので、ニューラルネットワークをベースにした大規模言語モデルで、多くのパラメータを持つため、人間のように文章を生成するなど、多様な自然言語処理タスクを実行できます。(乱暴な例えかもしれないですが、ChatGPTはニューラルネットワークを利用したAIアプリと考えると分かりやすいかもしれません。)
ChatGPT2020年7月に公開されたGPT3を少し進化させたGPT3.5をベースとしています。GPT3.5はテキストデータを3,550億個ものパラメータで学習するため、高い精度で自然な文章を生成できるのです。パラメータは学習能力の高さに直結し、多ければ多いほど精度が上がるといわれています。
2023年11月時点では、GPT-4が最新バージョンになり、パラメータの数も100兆個になって性能も向上しています。
AIの今後
今後、AIの発展については、以下の事が期待されています。個人的には、昔は、検索メインで調べものをしていましたが、現在は、調べるときには、CHAT-GPTを使っているEdgeのCopilotを起動して、日本語を入力して調べるようになり、少しづつ個人の作業でもAIが入ってきているのを実感しています。
- 作業の自動化による生産性の向上
- 医療診断の支援
- データ分析による意思決定の支援
- 自動運転技術の発展(自動運転もレベル0~5に分けられ、現在、レベル2対応の車が実用化されていますね)
- 画像認識技術の発展
- 自然言語処理技術の発展(ChatGPTがここに入りますね)
しかし、一方で以下のような懸念もあります。
- 高額な導入費用(開発費も膨大ですね)
- 人間の仕事の自動化による失業率の上昇(実用化されていけば、単純作業がAIに変わるとという話ですね)
- 偏見やプライバシーに関する倫理的問題
- ハッキングによるセキュリティリスク
- 人間らしい創造性や感情の欠如
そのため、今後は、倫理的な問題や社会的な影響、人間とAIが協調して働く社会などの課題を解決していく必要があります。
倫理的な問題や社会的な影響については、AI活用のリスク対策として、OECD(経済協力開発機構)などの国際機関や政府が原理原則を取りまとめや、
各国政府による国別ルールの制定が進められるようになりました。国別ルールには、法的拘束力を伴うものとガイドラインに留まるものがあります。
現時点ではガイドラインレベルのものが大半ですが、法的拘束力を伴うルールの制定が進む動きも見られています。
Microsoft Copilot
ここでは、AIの歴史について説明しました。今回AIに興味を持った元となった、Ingiteで紹介があったマイクロソフト社ののMicrosoft Copilotについて、記載しようと思います。